伊賀上野最大の観光地ともいうべき上野公園。伊賀上野城の白い天守閣のお膝元には、ユニークな八角堂が存在していた!
俳聖殿
屋根の形が面白すぎ!?な八角堂(お寺などによくある八家形のお堂)が三重県・上野公園にある。その名も俳聖殿(はいせいでん)だ。松尾芭蕉の生誕300年を記念して、伊東忠太の設計により作られた。
松尾芭蕉が旅をしているときの姿に着想して作られている。ユニークな上部の屋根は笠をイメージしており、その下に顔、二層目の屋根(ひさし)は蓑と衣姿、お堂本体と柱は杖と脚を表している。
蓑はカヤ・スゲなどで作った昔の雨具。
戦時中に建築された
屋根を支える垂木(たるき)がグネグネしていて面白い。
俳聖殿が建てられたのは1942年、太平洋戦争真っただ中にこういった建物が建てられたことに驚く。伊賀上野の方々の、松尾芭蕉に対する尊敬の念を感じずにはいられない。現在では国の重要文化財に指定されている。
伊東忠太により設計
ユニークさと伝統を併せ持つこの建築は、寺社仏閣に多くの名建築を残した建築学者・伊東忠太によって指導された。代表作は平安神宮、明治神宮(戦前)、築地本願寺、橿原神宮、湯島聖堂といったところだろうか(一部共同設計)。
平安神宮の複雑な屋根は、現代人がみても面白さを感じるだろう。個性と伝統の両方に精通した伊東だからこそ、檜皮葺の八角堂という伝統的なフォーマットを、どこにもない個性を持った建築として成立させられたのだ。
芭蕉の命日に扉が開く
普段は内部に入ることが出来ないのだが、松尾芭蕉の命日である10月12日に行われる『芭蕉祭』にて、扉が開かれる。その際には中に安置されている伊賀焼等身大の芭蕉像がお披露目されるとのこと。
美しき伊賀上野城もご覧あれ
俳聖殿の近くには、白鳳城とも呼ばれるこの美しき天守閣がそびえたつ。1935年に建てられた三層の天守閣は市の指定文化財として、伊賀上野のトレードマークになっている。日本100名城の一つに選ばれた人気スポットで、内部では武具・甲冑や、戦国時代に伊賀上野城を築城した藤堂高虎ゆかりの品を見ることが出来る。
伊賀上野城の特徴の一つが、内堀に面した石垣の高さ。くらくらするほどの高度だが、その分景色がいい。民を見守る領主の気持ちになるのも一興だ。
おわりに
チャーミングな趣が伝統と融合した俳聖殿。桜やモミジの季節に訪れるのもいいだろう。
松尾芭蕉についてもっと知りたい方は近くの芭蕉翁記念館へ。また同じ公園内にある伊賀流忍者博物館で、忍者屋敷を楽しむのも面白い。ピクニックがてら、足を運んでみよう。