33年に一度のご開帳
滋賀の櫟野寺(らくやじ)、比叡山開祖最澄ゆかりの寺で、本尊である十一面観音坐像の33年に一度のご開帳が行われている。一昨年に東京国立博物館で目玉として展示された仏さまで、その素晴らしさは折り紙付きだ。
めちゃくちゃ晴れた滋賀
五色の幕が彩る本堂の上には、晴天が広がっている。美しい紅葉が本堂の朱に映えた。大きい寺ではないが、数多くの拝観者で賑わっていた。それも当たり前で、関西でJRに乗っていると今回のご開帳の広告を見ない日はないのだ。比叡山の影響下にある滋賀で、この櫟野寺はかなりの地位を占める歴史ある寺社として知られている。
十一面観音坐像
甲賀に行った目的は櫟野寺の十一面観音。すでに東京国立博物館で見てはいるんですがなにせ「次の開帳が三十三年後の秘仏」ですから。これが最後の機会かもしれません。観音様は本堂の奥にある宝物館の厨子に収められていて、全体を見ることができます。今回感動したのは、 pic.twitter.com/LwNnZIvnnX
— s.u (@tabijikan_su) 2018年11月24日
櫟野寺の仏像に共通するしもぶくれの顔、写真では伝わらない巨大な仏像で、縦の高さは4mもあるそうだ。そしてこの眼差し。今回俺が見に行こうと思ったのも、このどこか冷たい眼差しがあったからだ。
特別展「平安の秘仏―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」 重要文化財の平安彫刻20体が集結します。本日最終日となっております。https://t.co/UwnDagKVTr#櫟普及委員会#らくやじ pic.twitter.com/QlGdhGSU0W
— 『櫟』普及委員会 (@raku_iinkai) 2017年1月9日
光背に水の波紋があしらわれていたり、手に花瓶を持っていたりするのは、琵琶湖に由来しているそう。日本最大の水源は、1000年前から人々の生活を支えていたのだ。
数多くの仏像を収蔵
どこか優しいまなざしが特徴的な木造毘沙門天立像や、ご本尊に負けず劣らずの大きな丈六仏・木造薬師如来坐像(共に重文)や、多くの素朴な表現が見られる仏像群が見られるので、仏像好きにはぜひ行ってほしい。
催事も行われている
小さいながら屋台なんかも出ていて、サンマ寿司なる名物が売られていた。それよりも気になったのはご開帳を記念したTシャツを売っていたこと。そういうことするお寺って珍しいよね。しかもBSで番組を持っているほど仏像好きで知られる、みうらじゅん/いとうせいこうのサイン入りシャツが飾られていた。東京国立博物館での展示の際も宣伝に貢献していたようで、この櫟野寺がお気に入りらしい。
紅葉も堪能できる
ご開帳に合わせて奥書院も公開されており、同じく拝観することが出来る。こちらも小さいながらも素敵なお庭で、立派な紅葉が見ごろだった。画像からあの美しさが伝わるだろうか。縁側でこれを眺める日曜日、素晴らしいではないか。
本当に感動したのでもう一枚。
アクセス/拝観時間
拝観時間は9時から16時で、拝観料は800円だった。小学生以下は保護者同伴の場合無料。大きな駐車場があったので、車の方はご安心を。期間は少し短くて、来週12/9(日)まで。最終日なので法要が行われているそう。
JR草津線甲賀駅から1時間に1本の臨時バスが出ていて、片道250円で行けるが、時間は要チェック。またJR草津線自体も1時間に一本しかないので要注意。タクシーを使った場合は、櫟野寺までで1700円だった。近江タクシーを電話で配車してもらうことになる。電話番号は0748-86-4181、甲賀駅から櫟野寺までを電話口で伝えよう。すぐに来てくれる。
おわりに
素晴らしい仏像たちと、美しい紅葉、そして33年ぶりのプレミア感。すこし俗っぽいが、これだけでも行く理由があるのではないだろうか。
千年以上置かれてきた場所で見なくては、仏さまがこの地域で持ってきた意味を感じることは出来ないだろう。行きにくいところにあるお寺だけど博物館での展覧会を待たず、この機会をにぜひ見てほしい。