7月20日。きてみな吉田寮というイベントを訪れた。
きてみな吉田寮のチラシが完成しました!明日から色んなところに置いてもらおうと思います。大学内でもビラ配りするよ!イベントの詳細は追ってツイートしていきますので皆さん乞うご期待! pic.twitter.com/0hFHeD3kLy
— きてみな吉田寮公式 (@comeon_yoshida) July 6, 2018
このチラシにある通りの盆踊りDayで、浴衣を身にまとったご婦人も多数参加していた。そこで感じたこと、話した言葉、忘れる前に書いておきたい。
京都は暑かった
京都はなんと5日連続38℃越え。観測史上最大の猛暑に襲われていた。仕事の無い日は冷房の効いた部屋でクリームソーダを飲んで過ごし、日暮れとともに動き出す。そんな生活。
ネットサーフィンに興じていると、目に飛び込んできたのが上記のチラシだ。名前だけは聞いたことがある京大の名物寮で、盆踊り大会があるらしい。これは行かねば。ということで後輩を招集し、二人で吉田寮へと向かう。暑さに耐えかねてスムージーを飲みながら。
裏口から突入
Google Mapを頼りに吉田寮へ向かうと、おどろおどろしい見た目の建物に遭遇。「え?ホントにここ?」後輩と目を見合わせる。若干引きながら入っていくと、寮生に暖かく迎え入れられた。間違えて裏口から入ったらしい。面目ねえ。
改めて表玄関へと向かう。
京大吉田寮が好きだ。
— ツマミ 具依 〈8/12イベント〉 (@tsumami_gui_) July 21, 2018
吉田寮はいま老朽化等を理由に存続の危機にある。それをどうにか歴史的価値がある建物だけでも残そうという話を聞いた。
私も賛同しているが、大事なのはそこじゃないと気づいた。吉田寮は学生がいるからいいんだ。 pic.twitter.com/LtAWsu8B32
立派だし全然暗くなかった。ドキドキ損だった。態勢を立て直し、寮を見学させてもらうことに。
築104年
築104年の建物には強烈な生活感があり過ぎた。もはや空想の世界のようだ。生活雑貨は部屋の外に置いているのか、長い長い廊下には大量の調理器具や食器が置かれている。用途がわかったのはそれくらいで、廊下に鎮座する大半のモノは何なのかわからなかった。
風呂なし鍵なし、建物は今年で築105年――。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) July 19, 2018
今の感覚からすれば、決して「快適」とは思えない住環境。それなのに、なぜ学生たちは入寮するのか。京大吉田寮に暮らす人々を訪ねました。(写真:野村幹太)#京大吉田寮 #京都大学 #吉田寮 https://t.co/4yaBT5YI5h pic.twitter.com/afS7nSU4CF
廊下の端には猫用と思われる扉があり、野良猫が涼みに来ていた。遠くから聞こえるピアノの音は、さっきの体育会系な寮生が弾いているのだろうか…。日本にまだこんな風景が残っていたんだな、残したいなと、思った。
特別展示
巨大な寮の空き室を使って、展示も行われていた。訪れた人の写真や、寮に縁のある人の思い出。とある寮生が語ってくれたのは、吉田寮がいかに開かれた場所であるかということだった。
寮生であること。京大生であること。そういった垣根を超えたオープンなスペースであり続けた場所であると、彼は語った。いつでも泊まりに来てね、とも。性別も国境も超えて、あらゆる人を受け入れる空間だった。
200円で雑魚寝させてもらえるらしいので、一度泊まりに行ってみようかと思う。これまでの人生に無かった会話が生まれる。何度も行きたくなる場所だ。
盆踊り
盆踊りはサンポーヨシというお洒落お祭りバンドの演奏で行われていた。ベテランの方から自分のような初心者までそれぞれが踊っていた。最初はぎこちなかったが、1人でも踊れる人がいるとそれが伝播していくようだ。3分もあれば完璧な盆踊りの輪が完成する。楽しい。なんで今まで自分は踊ってこなかったんだろう。
食べ物も出していて、美味しいたこ焼きとハイボールを頂いた。酒を出している方には、Bar無賃労働と書かれていて、値段を見るに原価だったんじゃ無いかと思う。しかも兵庫の地ウイスキー・あかし。ご苦労様です。
毎週土曜は吉田寮
スズメンバめっちゃいい。今夜の厨房ライブはまだ始まったばかりだ!!! pic.twitter.com/vwRKdBFlVF
— 吉田寮 厨房LIVE! (@chubo_live) July 21, 2018
どうやら毎週土曜日に「食堂酒場」というイベントをやっているらしい。こんな感じでご飯を出して、音楽ライブまでしてしまうのだ。
21日土曜日の食堂酒場は18時から一時間早めに開けてます。
— 食堂酒場@吉田寮食堂 (@ryosyoku) July 18, 2018
18時半から厨房ライブDX、なんと豪華三バンド出演があります。
写真は前回の冷やしジャージャー麺と食堂裏畑の取れたてトマトです。
今回も取れたてトマトがカンパで食べれます。その他、ダッカルビやカレー等のメニューを予定です。 pic.twitter.com/VbdAMD1BkC
なんだか美味そう。トマトまで作っているらしい、究極の自治組織だ。
自治寮
吉田寮が学生によって自治される寮なんだと、寮生の方は語っていた。直接民主制の実験場なんだとも。週に何度も集まり、会議し、寮としての方針を決めながら歩んできた歴史がある。寮生の雰囲気がフランクなのは、自分たちで管理している空間だからだろう。
「誰でも受け入れる」ことで様々な化学反応を起こしてきた吉田寮は、消滅の危機にある。京都大学から、9月末までに全寮生が立ち退くよう通告があった。寮の老朽化が根拠となっているが、様々な思惑が絡んでのことだろう。
こちらのページでは、吉田寮の現状について書かれているので、気になった方はチェックしてみてほしい。
京都のとある大学のとある寮を巡るドラマも作られている。
吉田寮には長い歴史があり、先人の記憶が染みついている。それが今忘れ去られつつあった。そして最後の寮生になるかもしれない彼らは、全力で抵抗していた。
僕が見てきたのはそんな光景でした。吉田寮の歴史が続いていくことを願います。それでは。