Voyage Bibliomaniac

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吉田寮を見学して、京都大学が立ち退き通告を出したことを知った話

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7月20日。きてみな吉田寮というイベントを訪れた。

このチラシにある通りの盆踊りDayで、浴衣を身にまとったご婦人も多数参加していた。そこで感じたこと、話した言葉、忘れる前に書いておきたい。

京都は暑かった

京都はなんと5日連続38℃越え。観測史上最大の猛暑に襲われていた。仕事の無い日は冷房の効いた部屋でクリームソーダを飲んで過ごし、日暮れとともに動き出す。そんな生活。

ネットサーフィンに興じていると、目に飛び込んできたのが上記のチラシだ。名前だけは聞いたことがある京大の名物寮で、盆踊り大会があるらしい。これは行かねば。ということで後輩を招集し、二人で吉田寮へと向かう。暑さに耐えかねてスムージーを飲みながら。

裏口から突入

Google Mapを頼りに吉田寮へ向かうと、おどろおどろしい見た目の建物に遭遇。「え?ホントにここ?」後輩と目を見合わせる。若干引きながら入っていくと、寮生に暖かく迎え入れられた。間違えて裏口から入ったらしい。面目ねえ。

改めて表玄関へと向かう。

立派だし全然暗くなかった。ドキドキ損だった。態勢を立て直し、寮を見学させてもらうことに。

築104年

築104年の建物には強烈な生活感があり過ぎた。もはや空想の世界のようだ。生活雑貨は部屋の外に置いているのか、長い長い廊下には大量の調理器具や食器が置かれている。用途がわかったのはそれくらいで、廊下に鎮座する大半のモノは何なのかわからなかった。

廊下の端には猫用と思われる扉があり、野良猫が涼みに来ていた。遠くから聞こえるピアノの音は、さっきの体育会系な寮生が弾いているのだろうか…。日本にまだこんな風景が残っていたんだな、残したいなと、思った。

特別展示

巨大な寮の空き室を使って、展示も行われていた。訪れた人の写真や、寮に縁のある人の思い出。とある寮生が語ってくれたのは、吉田寮がいかに開かれた場所であるかということだった。

寮生であること。京大生であること。そういった垣根を超えたオープンなスペースであり続けた場所であると、彼は語った。いつでも泊まりに来てね、とも。性別も国境も超えて、あらゆる人を受け入れる空間だった。

200円で雑魚寝させてもらえるらしいので、一度泊まりに行ってみようかと思う。これまでの人生に無かった会話が生まれる。何度も行きたくなる場所だ。

盆踊り

 盆踊りはサンポーヨシというお洒落お祭りバンドの演奏で行われていた。ベテランの方から自分のような初心者までそれぞれが踊っていた。最初はぎこちなかったが、1人でも踊れる人がいるとそれが伝播していくようだ。3分もあれば完璧な盆踊りの輪が完成する。楽しい。なんで今まで自分は踊ってこなかったんだろう。

食べ物も出していて、美味しいたこ焼きとハイボールを頂いた。酒を出している方には、Bar無賃労働と書かれていて、値段を見るに原価だったんじゃ無いかと思う。しかも兵庫の地ウイスキー・あかし。ご苦労様です。

毎週土曜は吉田寮

どうやら毎週土曜日に「食堂酒場」というイベントをやっているらしい。こんな感じでご飯を出して、音楽ライブまでしてしまうのだ。

なんだか美味そう。トマトまで作っているらしい、究極の自治組織だ。

自治寮

吉田寮が学生によって自治される寮なんだと、寮生の方は語っていた。直接民主制の実験場なんだとも。週に何度も集まり、会議し、寮としての方針を決めながら歩んできた歴史がある。寮生の雰囲気がフランクなのは、自分たちで管理している空間だからだろう。

「誰でも受け入れる」ことで様々な化学反応を起こしてきた吉田寮は、消滅の危機にある。京都大学から、9月末までに全寮生が立ち退くよう通告があった。寮の老朽化が根拠となっているが、様々な思惑が絡んでのことだろう。

yoshidaryozaiki.wixsite.com

こちらのページでは、吉田寮の現状について書かれているので、気になった方はチェックしてみてほしい。

www.nhk.or.jp

京都のとある大学のとある寮を巡るドラマも作られている。

吉田寮には長い歴史があり、先人の記憶が染みついている。それが今忘れ去られつつあった。そして最後の寮生になるかもしれない彼らは、全力で抵抗していた。

僕が見てきたのはそんな光景でした。吉田寮の歴史が続いていくことを願います。それでは。