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村屋が吉田寮と企画したイベント『村おこし』が激アツだった件

京都のディープな酒場。その筆頭候補だった村屋は、いつの間にか姿を消していた。そして2018年9月、あの京大吉田寮で奇跡の復活を遂げていたのである。

地域のお祭りムード

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普段の吉田寮もそこそこ外部の人間が訪れて賑わっているが、今日は桁が違った。お祭りらしい赤ちょうちんの元に、200人以上の人間が集まっていた。

大学の自治寮と居酒屋だけで、これほど大きなイベントを生み出せるのか。現在は9月末の立ち退きをかけて大学とバトル中の吉田寮、やはり無くすには惜しい存在だ。

21の県から44の出店

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多くの屋台でにぎわう吉田寮食堂前。いつもは何もない場所が、完全に東南アジアの風情だ。俺の行った日はスパイシーな風に加えてスコールのような雨まで降り始めて、東南アジア"らしい"風景になっていた。

なんと全国21の県から44ものお店が集結。これまでの村屋と吉田寮の歴史を思わせる、幅広い人材が集っていた。なぜかカラオケ大会が開催されていて、カオスを極める屋台村。

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思わず食べたホルモンミックスの赤みそ炒めは、芋焼酎と相性抜群だった。モンゴルパンだったり、中国のお酒を使ったカクテルだったり、不思議な料理が集まっていたのも吉田寮らしい。

目玉となるイベント

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イベントスペース前には村屋の暖簾が掲げられていた

『村おこし』の目玉イベントは、多数の出演者による劇や演奏だった。様々な分野でアバンギャルドな表現を追求している人たちが、普通のライブハウスではお目にかかれない自由度の高いステージを生み出していた。

俺が見た人たちをいくつか紹介しておく。

切腹ピストルズ

和楽器で様々な音楽をパンクに演奏するバンド、切腹ピストルズ。最初ステージに和楽器が並んでいるのを見て油断していたから、かなり前の方で見ていたら強烈なモッシュに巻き込まれた。びっくりした、というか気絶しかけた。

いくつもの太鼓が生み出す強烈なビート、そして江戸庶民のやけくそパンクスピリット。滅茶苦茶な音楽なのに…滅茶苦茶な音楽だからこそ彼らは最高だった。あの踊り念仏モッシュにまた巻き込まれにいきたい。

ちゃんこぽんちー

まさかの相撲をテーマにしたロックバンド。Vo.こうちゃんこの人生は相撲に彩られてきたようで、19年励んだ末に大相撲までやっていたそうだ。

そんな元相撲取りのバンドは、強烈な即興性をもち表現を追求したものだった。本当に驚いた。誰だってステージにまわし巻いた人が出てきたらコミックバンドだと思うはずだ。不意打ちの四股は、その場にいた人全員に少しづつ幸運を与えたことだろう。

ANTIBODIES Collective

芸術家・技術者が集まってアバンギャルドな表現を追求するANTIBODIES Collective。40分ノンストップで演奏とダンスと自己表現を続けた彼らの熱量に、会場から賞賛の声が飛び交う。どんな舞台だったか言葉にするのは、あまりにも難しい。

10/5~8まで、瀬戸内海に浮かぶ犬島の全てを使って、新たなステージを行うらしい。とんでもない規模だ。120分間の上演の後には、吉田寮に出現したような村が海辺に表れるという。興味を持った方は、こちらまで。

吉田寮よ続いていけ

最後になるが、吉田寮は9月いっぱいで継続の危機にある。それを防ぐために様々な活動を行っており、今回の『村おこし』もその一環だ。

今後もイベントを行っていくそうなので、もし可能ならば足を運んで、署名をしていただけないだろうか。この場所が無くなるのがとても惜しい。

来週の土曜日には、京都を背負いつつあるフジロック出演バンド、台風クラブと本日休演が出演する。あまちゃんのテーマなどを作曲しながら、アバンギャルドな演奏を続ける大友良英も出演だ。これを見逃す手はない。ぜひ行ってみてほしい。それでは。