上海には二つのすごい書店があると聞いた。1930年代の倉庫をリノベーションした文築書店と、レアな建築関係の書籍を販売している渡口書店である。その2つを実際に訪れてみると、驚きの事実が筆者を待っていた。
文築書店
こちらは上海のお洒落スポット、蘇州河SOHOアートエリアに位置する書店。なんと1930年代の倉庫を書店にしているそうで、関係の本がたくさん売っているらしい。中国の建築文化を世界に発信する文築国際という会社が運営しているとか。
Google Mapに従いながら書店を目指す。川沿いの道には歴史的な建築物をリノベーションした施設が立ち並び、期待も高まっていく。しかし文築書店は僕の前に表れなかった。どうやら閉店してしまったらしい。
これは文築書店があった建物の隣のオフィスビル。受付の女性曰く書店はもうないとのこと…。残念すぎる。運営の文築国際のホームページを見てみると、2013年から更新されていない。数多くの文化事業を行い多くの情報を発信していたこの会社は、いったいどうなってしまったのだろうか。
渡口書店
こちらはレアな建築関係の書籍が売られていると聞いて、ぜひ行ってみたかった場所。租界時代のクラシカルな街並みの中に、そのオシャレ書店はあるという。コーヒーを片手に本を読めるチルスポットでもあるとか。楽しみにして向かったのだが、こちらも…。
閉店していた。
呆然としていて写真も撮っていない。2016年の記事もあったのに。どうしてなのか。
上海はオシャレ書店ブーム
近年、上海ではオシャレな大型書店が乱立している。蔦屋書店のようなスタイルで、本だけでなく雑貨も扱い、喫茶まで手がける。こういった場所に行って、SNSに写真を投稿するのが、都市生活者たちのステータスなのだ。
そういった場所では本好き向けのマニアックな本よりも、わかりやすい内容でお洒落な装丁の本が売れるはずだ。だからこそ街の小さな書店はわずかな客を奪われ、次々に生まれては消えていっているのだろう。本屋は本を買う場所では無くなりつつある。日本でも同じ変化を感じるはずだ。
多くの図書館がある上海
上海には驚くほどたくさんの図書館がある。学校に付属の物も含めると300以上にのぼるそうだ。そして上海は中国で最も物価が高い街といわれている。それなのに平均月収は約8000元(128,000円)程度である。東京の平均月収38万円から比べると、本にかける余裕が少ないことが分かるだろう。多くの図書館があり平均所得が少ない街で、本屋は生き残っていけるのだろうか。
オススメ書店を紹介
僕は上海で多くの書店を訪れた。どこも雑貨を取り扱って生計を立てていた。その中で特によかった所を、最後に紹介したい。
こちらは上海で50年以上前に活躍したハンガリー人建築家、ラズロ・ヒューデックによる武康大楼(Wukang Building)だ。現在も人が暮らすマンションで、この一階にその本屋が入っている(名前は失念)。名建築に入っているだけあって、建築関係の書籍もあり見ているだけで楽しい。奥には中国茶が飲める喫茶スペースも併設されていて、高級感がある書店である。
ここで2冊の本を購入した。先述のヒューデックと、中国人にして初めてプリッカー賞を受賞した王澍(Wang Shu)のものである。50枚以上のカラー写真と解説がのった作品集で、ヒューデックの方にはプランまで書かれているのに、値段は50元(850円)程度である。お得感と貴重さのある、ぜひ手に入れておきたい本だ。建築好きの皆さんにはぜひ訪れてほしい。
最後に書店の場所を表示しておく。Google Mapは本来、中国では使えないが、下記のSIMカードなら香港の回線を経由するため使用することが出来るようになるので、中国旅行にオススメだ。
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